企業戦士はつらい

したがって父親は、企業戦士に一層拍車をかけねばならずそのことでますます家族から疎遠となってしまうという悪循環になってしまいます。主婦のパート労働が多くなるのも、経済的必然から生じていますが、女性の社会参加の意味もあります。しかし、このことが女性に心の余裕を与えてくれるのならよいのですが、ときに家族の団らんが消失し、家族がバラバラになってしまうという結果になることもあり、中高年の離婚を多くしているひとつの原因となっています。母親と子どものあまりに強い結びつきと教育熱心は、父親を疎遠化し、心理的離婚状態になっていることもよくみられます。母子共生はますます顕著になり、子供の自立はいよいよ困難となり、未熟青年をたくさん生み出しています。彼らには、社会は強固な大人の社会として映り、しり込みしてしまい、引き込もる青年が増加しています。父親のアルコール依存は、会社のストレスもさりながら、家族からの孤立ということも関与していることがあります。会社ではワンマン課長、家では一兵卒(ときに粗大ゴミ)ということはめずらしいものではありません。会社は会社、家は家とメリハリをつけ、両方のバランスをうまくとって生きることがとても大事なことであり、夫婦の老後の幸福、子供の情緒的安定にも必要なことです。家庭内暴力や登校拒否児の多くは、母親に直接反抗していますが、実は強い父親の登場を、無意識に叫んでいることが多いのです。

 

安定した社会では四〇歳から六〇歳までの中年期が、人生で一番実り豊かな時期のはずです。しかし、そのためには中年期の危機を通し、内面性の深化と、価値観や人生の目標の再調整に成功する必要があるでしょう。さもないと、老年期に厳じい孤独や絶望感に悩むことになります。そして、中年だからといって、やがてくる老年期を無視することなく、人生を広く考え、遊びや趣味、友人・家族を大切にすることです。仕事一筋はとても危険なことといわざるをえません。今の社会は変動が激しく、誰もが将来に不安をもっています。既成の価値観もゆれ動いています。このなかにあって、自ら自党的に個性的な人生目標と価値視を創造する決意が望まれます。