病気になりやすい特異的な性格

今までの私の臨床経験から、どんな人がうつ病になりやすいか述べてみましょう。心優しく人情家ではありますが、仕事一筋や勉強一筋という、なにごとも完璧にしなければすまない強迫的な傾向をもっている人。また、なにかと悲観的に考える傾向、すぐに人と比較して自分をみじめだと思ってしまう傾向、なにごとも自分一人ではできないで、人に頼りがちな傾向が強い人です。これらの性格は二つに分けられるでしょう。 一つは、なにからなにまで自分でやって人に頼ることをしないけれども、性格が硬く、生真面目すぎて仕事一筋というタイプ。もう一つは、非常に自立心が乏しく、人に頼りながらなんとか生きようとするタイプ。

 

この二つは自立性ということでは反対の方向になりますが、どちらもうつ病になる人にはよくあるタイプです。分裂病になりやすい人というのは、対人関係が発病以前から乏しく、自閉傾向が強い。また、性格も極端に真面目でユーモアの理解や、他人への共感性が乏しい。さらに趣味が乏しく、生活のパラエティに欠けます。趣味が乏しいことは、うつ病や分裂病の人にはとくにいえます。不安発作及び全般性不安障害の人たちは、完全癖が強く、勝気です。負けてはいけないといつも自分を駆り立てているので、不安発作が起こりやすいのです。

 

このようなことを考えてみても、その病気になりやすい特異的な性格を、はっきりと指摘することはむずかしいことです。多少その傾向があるとしても、この病気にはこの性格と、直線的に指摘することは困難です。最初に述べたように、柔軟性に乏しい、趣味が乏しい、 ユーモアがわからない、視野が狭くなりがちであるというよヶに「性格が硬くなりがちな人」としてまとめられる人が、共通して心の病気を引き起こしやすいといえます。

 

こうならないためにも、日頃から性格の柔軟体操を心がけなければなりません。自分と違った性格の人とでもちょっとつき合ってみて、自分にないものを得るといったこともいいでしょう。趣味においても、自分がのめり込んでいるものだけでなく、別のものにも興味を示してみるといったこともよいことです。幅広い趣味をもつことで、ストレスがあったとしても趣味に逃げることができ、ストレスからの一時的な逃避が可能となります。