ストレスを抱えているとき

これが、その人のうつ病の再発を防ぐことになりました。不安発作のある青年の場合は、英会話を習いはじめ、そこでいろんな人と交わり、話をするようになりました。勉強が終わってから、仲間たちと喫茶店でむだ話をしていくうちに、人のいろんな考え方、生き方を知り、人と接する楽しみを知りました。しゃにむに生きすぎていたことを知ることで、自分の性急な性格を修正することができ、不安発作からも解放されました。趣味ないし芸が心を助けることは、われわれの臨床からも充分に自信をもっていえることです。不安や緊張の強い人には、深呼吸するだけでも充分効果があるでしょう。日頃練習しておくことは、いざという不安のときに有効です。吸うときはふつうのスピードで吸っても、吐くときはゆっくり吐くことが重要です。とくに複式呼吸のほうが効果的なようです。そのほかストレス解消には、睡眠を充分にとること、風呂にゆっくり入ること、友人とおしゃべりをすること、なども重要です。また、否定的で暗い考え方に陥りやすい人は、それを止める癖を学ぶのがよいでしょう。客観的に考えれば、ストレスを抱えているときはたいていはやいたり悔いたりするので、結局ストレスを深めてしまいます。どんなつらいときでも、さり気なく明るくいられる人間になりたいものです。

 

 

人間の寿命がますます長くなっています。それとともに中年期、老年期が相対的に長くなります。したがって中年期をどう生き、どう老年期を迎えるのかが、ますます重要なこととなってきました。中年期が、人生において一番生産的な時期であることには異論はないでしょう。知性、経験、体力が一番バランスよく働くころなのです。しかし他方で、中高年の自殺、うつ病、アルコール依存症、離婚などが顕著に増加しており、中年期は第二の思春期危機(思秋期)であると専門家にもいわれるようになっています。また、老年期においても、うつ病や家庭内トラブルは多くなっています。核家族化の進行によって、老人のき方がとてもむずかしくなっていて、定年退職後の男性が、実にみじめな生き方をしていることも意外に多いものです。これらは世界的現象でありつつも、日本独自の家族制度や、敗戦後の価値観の変動や産業構造の変化とからんでいるものです。アメリカの心理学者レヴィンソンによると、四〇歳から四五歳までを、第一の中年の危機としています。そこでは三つの大きな課題があります。
@それまでの若い時代を振り返り、再評価する。
Aそれまでの人生の不満足な部分を修正し、新しい面を試みてみる。
B人生の後半に入るに際して生してきた、主な心理学的問題―― 自己像や価値観をもっと現実的なものに見直すといったこと―― を解決する。

 

 

といったことを課題としています。