知的能力一般的知能テスト

中年の危機とはこのような状態なのではないでしょうか。しゃにむに生き、やっと安定した人生コースに達したと思うものの、それまで捨ててきたもの、見ないでいたものにふと気づき、自分の人生の目標はいったいなんであったのか、またなんであるべきなのかという心の旅が再びはしまるのです。中年期以後の知的能力一般的知能テストでは、二〇歳台が知能のピークとなります。しかし、 一人ひとりの追跡研究をして、その人の一〇代から五〇代までの知能テストを、ずっと同じ条件でとってみると、二〇歳台がピークではなく、中年の五〇?六〇歳になるまで維持されることがわかりました。つまり、非言語的な動作性知能は低下し、スピードは低下するものの、言語的知能はさらに上昇すらするというものです。中年以降は、集中力の低下と記憶力の低下(これに疑間を呈する人もいますが)が、知能を低下させているようです。知能テストは、必ずしも人間の高級な判断力や創造力を調べているわけではないので、そのまま信用することは危険です。しかし、それでも一人ひとりの追跡研究から知能は中年まで充分に維持されること、しかもその知能の特徴はほどよく抽象的で、ほどよく具体的で、現実社会に必要とされる実践的知能に長けている年代であると見てよいでしよう。このように、生きるという現実に即した知能が、一番高くなるのが中年期といえるのではないでしようか。

 

ある調査では、科学者の創造性のピークは四〇?五〇歳台で、芸術家は四〇歳ぐらいであり、言語中心の人文系や文学関係の人は六〇歳台というデータを出しています。個人差がとても大きいので、これも一応参考程度にとどめておくのがいいでしょう。中高年の職場でのストレス労働省の調査では、四五歳から四九歳までの人で、ストレスを強く感じる人は五七%であり、その内訳は、
@多忙による心身の疲労
A人間関係
B家族の病気。死亡
となっています。

 

 

また、中高年の自殺が増えている昨今であり、 一九八四年では、六五歳以上の自殺者は自殺者全体の三二%で、五〇歳台が一九。二%、四〇歳代が二一・七%でした。増加率でいえば四〇歳台、五〇歳台の増加が目立ちます。また、自殺の理由の一番は「病苦」であり、次いで「アルコール依存症・精神障害」「経済生活問題」「家庭問題」と続き、五番目に「勤務問題」になっています。しかも、この勤務問題による自殺は年々増えているといわれます。このように、中高年の職場のストレスは、深刻味を帯びてきています。精神安定剤を服用している人は、四〇歳以上では二〇%に達しています。このようなストレスについて、まず考えられるのは技術革新の速さとめざましさであり、絶えず新しいシステムやコンピュータなどに適応していかねばならないという流動的状況でしょう。